税込11,000円以上ご購入で送料無料!
お支払い方法
体内時計は、2017年にそのメカニズムを発見した米国人の科学者3名が、ノーベル生理学・医学賞を授賞し話題になりました。
すっきりとした目覚めで朝を迎えるには、体内時計を整えることが重要です。今回は、体内時計を整えるための食事リズムについてお伝えします。
私たちの体には「朝になると目が覚めて、夜になると眠くなる」といった、1日のリズムがあり、これをサーカディアンリズム(概日リズム)と言います。 このサーカディアンリズムを決めるのが体内時計です。体内時計は1つだけではなく、脳の視交叉上核に存在するメイン時計が全身をコントロールし、 胃や肝臓、皮膚、血管などの様々な末梢組織にあるサブ時計に指令を出すことで、私たちは自然と日中に活動し、夜になったら体を休めるといったリズムを刻んでいます。
最近の研究では、体内時計のズレが生じることで睡眠の質の低下や、体の不調を招くという報告が出ています。 体内時計と聞くと、地球の自転と同じ24時間周期だと思われるのですが、体内時計は24時間より少し長い周期を持っています。 そのため、体内時計を毎日リセットして、体内時計を地球の自転と同じリズムに調整する必要があります。
《メイン時計は「太陽の光」でリセット》
脳の視交叉上核に存在するメイン時計と、末梢組織に存在するサブ時計ではリセットの方法が異なります。 まず、脳の視交叉上核にあるメイン時計をリセットしてくれるのは光です。太陽の光が目の網膜に入ることで視交叉上核に光の刺激が伝わり、 朝になったことを認識し、メイン時計がリセットされるのです。そのため、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる習慣が、体内時計の乱れを防ぐためには大切です。
《サブ時計は「朝食」でリセット》
各組織でそれぞれ独自のリズムを刻んでいる末梢時計は、メイン時計のように光の刺激でリセットすることができません。 末梢時計をリセットするのは食事による刺激です。朝食を食べることで各組織に時刻合わせの指令が伝わり、体内時計のズレをリセットしてくれるのです。
ここで注意したいのが、メイン時計とサブ時計のズレを生じさせないことです。そのためにも、朝起きたら太陽の光を浴び、 起床後1時間以内に朝食を食べるのが理想です。
《メラトニンの分泌量が増えると眠くなる》
夜になると自然と眠くなるのは、メラトニンという脳内の松果体から分泌される睡眠ホルモンが関係しています。 朝起きたときに光の刺激により体内時計がリセットされると、メラトニンの分泌量が少なくなり目が覚めます。 日中はメラトニンの分泌量が抑制されていますが、目が覚めてから14時間ほど経過すると、体内時計がメラトニンを分泌するように指令を出します。 そうすると、メラトニンの分泌量が高まり眠くなります。
そのため、夜のメラトニン分泌を高めて快眠をもたらすには、日中にしっかりと太陽の光を浴びてメラトニンの分泌を抑えることが効果的です。 反対に、就寝前にスマートフォンやパソコンなどから発せられるブルーライトや、室内の強い光を浴びるとメラトニンの分泌を抑制してしまうため、 快眠のためにも就寝前には光を控えめにしてメラトニンの分泌を促しましょう。
《遅い時間の夕食が体内時計を乱す》
夕食の時間が遅いと、体内時計を遅らせて夜型になってしまいます。その理由として、朝食で体内時計をリセットするには12時間の絶食時間が必要だからです。 例えば、朝7時に朝食を食べるのであれば、前日の19時までに夕食を食べることが理想です。 仕事などの生活環境によって12時間の絶食時間を作れないという方は、夕方におにぎりなどの軽食を食べ、帰宅後は消化の良いものを少量食べるといったように、 夕食を2回に分けて食べることをおすすめします。
《食事リズムを整えることからはじめよう》
私たちの1日のリズムを刻む体内時計。遅い時間に夕食を食べ、翌朝はお腹が空かず朝食を食べずに出かけてしまうと、体内時計をリセットできずに乱れる一方です。 体内時計が乱れることで睡眠の質が低下し、体の不調を招くといった悪循環に。そうならないためにも、毎日の食事リズムから体内時計を整えて、快眠へ導きましょう。
著者:河村桃子(かわむら・ももこ)
管理栄養士として病院やクックチル(食材を調理加熱したあとに急速に低温冷却しチルドの状態で管理する調理法)のコンサルティング、 栄養専門学校講師の業務に携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、「今日の食事で明日の自分は変わる」をモットーに、コラム執筆や特定保健指導、 レシピ提案、食事講座など働く大人の食事サポートを行っている。
【参考文献】
「睡眠リズムを整えるには」(国立精神・神経医療研究センター)
http://sleepmed.jp/platform/entry4.html
「睡眠・覚醒リズム障害」(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-006.html
「メラトニン」(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html